おろかな睡眠不足

好きな漫画やアニメやゲームの感想だったり推薦だったりを語彙力なく語ります

『処刑少女の生きる道』を読んで欲しいブログ

 

――殺されるなら、がいい。

 

ga.sbcr.jp

 

https://r.binb.jp/epm/e1_113865_03062019170517/

 ↑のリンクから小説一巻の大量ページの試し読みが出来ます!読んで~~~~~~~~!!!!

 

読むべきかかったるくて迷ってるなら、試し読み区間と一巻のネタバレ踏んでもいいならこのままこのブログを読んでって下さい!私はこの作品がかなり好きなので色々おしゃべりをします!たのしいよ!

 

 

(n回目かもなあらすじ:異世界召喚されたトキトウアカリの前に現れた、清く正しい神官のメノウ。メノウのことが『何故か』大好きなアカリは、逃げるよって言われたので一も二もなく一緒に逃げるけど行く先々でトラブルは起こるしちょくちょく記憶は飛ぶしでさあ大変!でもメノウちゃんと一緒だから問題ないよね?)

 

 

 

 作品について

 

佐藤真登作『処刑少女の生きる道(バージンロード)』はGA文庫で刊行中のライトノベルです。主人公で処刑人のメノウが、殺しても死なないヒロインのアカリを殺す――その手段を探しつつ一緒に旅をする中、様々なトラブルに巻き込まれていきます。予想外の襲撃に周囲の裏切りに世界を滅ぼす大災害と、ありとあらゆるベクトルで襲い掛かるとんでもないイベントの数々や修羅場をなんとかかんとか潜り抜けながら――意図しないまま、殺す相手に持ってはならないはずの親愛を、抱いてしまう。そんなお話。

この作品の最も最高なところは、『出てくる登場人物がほとんど女子(レギュラーメンバーは全員女子)の上、激重な感情が女子の間でえげつない程向けられまくること』。これこそ、この作品の最大の特徴にしてNo.1ポイントだと私は捉えています。異論は認めますが異端は殺すしか…。

 

 

キャラクターについて(女と女の関係性について)

基本的に主人公のメノウちゃんは無自覚女の子たらしなので、いろんな感じにいろんな女の子に感情を向けられます。三巻でついに小言を貰ったりしますが、まあ本人が完全無自覚馬耳東風なのでいつか刺されそうで怖いですね*1。皆感情が、本当に、重いんだよな…。重いんだよな!!!!

 

*2 

 

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メノウちゃん本当にかわいいな…

 そんな主人公のメノウはポニーテールのまぶしい、どこにでもいる清く正しい神官…な、だけではなく。漂白された人格に、後から人としてのカタチを書き込むようにして「造られた」女の子です。それ故に、本来人としてあるべき筈の生への執着を持たないなどの欠陥を抱えています。演技は明るく、反対に素は冷静で薄情とも思える淡白さ。でも根っこは真面目で善良という、普通でいびつな女の子。

唯一親しい後輩のモモ以外に目立って心を開くこともない。…筈だった彼女の心は、アカリとの邂逅を期に変わり始めます。神官であり処刑人である彼女の『正しい悪人』であろうとする生き方は、殺した彼らへの贖罪の道のりであり、彼女の決意の表れです。

 

 

 

 

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お前の天然はきっと一生モノ

メノウの処刑対象として命じられている、メノウにゾッコンラブ(死語)二号なのがトキトウアカリ。異世界召喚された日本の女子高生です。とにかくハイテンション、楽天家、そしてメノウちゃんのことが大好きなトラブルメーカー。本人もそんなに彼女のことが好きな理由を理解しておらず、最早本能的な好意をもってメノウに接し、そんな彼女を理解不能とメノウがつれなくあしらうのが常となっています。異世界特典として《時》の純粋概念という能力を保有しており、自身の死すらを自覚なく『巻き戻す=回帰する』ことが出来ます。その為、メノウはアカリを殺す手段を探し求めることになるのですが。

――そして、その実態は幾度となく回帰を繰り返したかつての「トキトウアカリ」が、これまでの記憶を封印した姿。殺され損ねた自分自身を、今度こそメノウに殺させるために。大好きなあの子に殺してもらうために――彼女は、何度も時を回帰する。

 

 

 

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いつまでもどこまでも健気~~~~~!!!!!

  また、こちらもメノウにゾッコンラブ(死語)一号なのが後輩のモモ。リボンがとってもかわいいですね。そんな愛らしい外見とは裏腹にメノウの為にのみ生きているといっても過言ではないバーサクぶり、神官でありながら神を信じず、神官であるメノウの為に神官になった女の子です。メノウ以外のすべてが――特に現状は彼女の最もそばにいるアカリが、敵です。メノウの為なら、なんだってできる。

メノウのことを『先輩』と呼び甘えた声で話しかけ盗撮するその姿からは想像がつかないほど、彼女は他者に対する容赦というものを知りません。それはメノウ以外に興味がない事の表れでもあります。メノウより、精神面においてよほど優れた処刑人である彼女は、情に絆されやすいだろうメノウとアカリが親しくなることに危惧を覚えています。そして、とある女に付きまとわれてしまう事実を呪っている。

 

 

 

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敵なら脅威、味方なら心強いを体現する姫ちゃま

 

 付きまとうのがさてこちらのアーシュナ殿下。一国の姫でありながら騎士に志願したうつけもの、生粋のバトルジャンキー、そして服がとても変。メノウとアカリ(とモモ)の旅路にちょくちょく交わり、時に敵、時に味方として状況を混迷に導きます。馬鹿みたいに強い。メノウとモモも腕利きの処刑人として実力はとても(どころじゃない位に)高いのですが、彼女はそれに追いつけどころか追い越せ追い越せな、もう熱すぎるくらい純粋な強さを有しています。マッジで強くてそのストイックさがカッコいい。…一国の姫が何故?地位を活用した情報網の広さ、行動力とあらゆる面でハイスペックを発揮するこちらもこちらでトラブルメーカー。アカリが力のない厄介者なら姫ちゃまは力のある厄介者ですね!はた迷惑だな!

 

 

メノウからはアカリに困惑交じりのはりぼての好意(諸説アリ)と殺意、アカリからメノウには上限を知らない無限大の好意。――今度こそという、祈り。

 

メノウからモモには絶対の信頼、モモからメノウには絶対の好意。危うい程に、奇跡のような。

 

モモからアカリには1ミリの隙もない嫌悪、アカリからもまた――『モモを知る彼女』からは同じ質の嫌悪。

 

 アーシュナからモモ(とメノウ)へは厄介な程の興味関心、神官二人からはアーシュナへは厄介さと頼りになることに対するなんとも複雑な感情。

 

 

全てが入り乱れぶつかり合い、そんな混沌の中で進むメノウとアカリの旅路が最ッッッ高~~~~に面白い。

 

 

そして3巻では、※以下3巻のネタバレ反転

このぐちゃぐちゃの状況に石をぶち込むように、ただ一人――メノウを、モモを嫌い、アカリを応援しちゃうサハラちゃんが登場しちゃうのでもうぐちゃぐちゃのぐちゃですよねニコニコしてしまうな!!!!3巻の混迷具合大好きだしメノウちゃんにすべての感情をぶちまけたメノウちゃん嫌いなサハラちゃんが余裕をなくしたメノウの唯一のパートナーになるだろう4巻が楽しみじゃないやつおんのか!?私楽しみ過ぎで最後のサハラちゃんが皮肉いうシーンずっと読み返してます……ウフフ……モモとアカリの殺伐犬猿旅路も考えるだけでニヤニヤしちゃうな……(反転終わり)。ね!!!!もう何も分かんねえよな!!!!(ニコニコ笑顔~~~!!!!)

 

 

 

 

 設定と伏線と描写について

 他、注目すべきはその設定の妙です。


異世界転生もののテンプレート、「異世界転生してチート能力を獲得」「ヒロインがすぐに主人公にべたぼれ」etc…なんていう思わず反吐が出ちゃうような在り来たりを、この世界は確かな現象として成立させています。

全部理屈があって、理由があって、それによって引き起こされた結果がある。だからこそ好ましい。

この世界において、現代日本から『迷い人』…異世界召喚される人が現れることは、ものすごく珍しい事ではありません。異世界でありながら共通語は日本語、というところなど、様々なところに日本からもたらされた文明の存在を見て取ることができます。

そんな異世界召喚された日本人は、その誰もが『純粋概念』と呼ばれる超強い能力……所謂チートを付与されています。能力の特性は人によってよりけりですが、どれもが驚異的であり、持ち主である迷い人を侵食することで、さらに強大になっていきます――それこそ、最後は世界を滅ぼす程に。

この世界は、一度異世界人の手で繁栄し、滅びかけている。そんな前例があるからこそ、処刑人は迷い人を殺さなくてはならない。たとえ彼らに罪がなくとも、その存在こそが世界にとっての罪なのだから。

 また、転生者が持つ能力自体の枷もポイントです。自身すらも狂わせる悪魔の能力は、浸食と共に使用者の記憶を削り取ったり、世界を歪ませたりと、見えないところで代償を奪っていきます。それは各地で人災《ヒューマンエラー》と呼ばれる被害を生み出した異世界人も、そして――アカリも、また。

巻が出るたびに明かされていなかった事実や知らなかった情報が明かされ、また知っていた/知らず敷かれていた伏線がどんどんと回収され、また新たな謎が敷かれる。この恐ろしい程の世界観の深さは、何度読み返しても飽きがこないな、と思います。その認知が正しいと誰が言った?的なのがもう畳みかけるように来るんですもん。

 

 

そして何より熱くたぎる戦闘描写ですね。身分制度の強いこの世界において最高位の第一身分(ファウスト)、神官であるメノウちゃんは、神官の中でも最高位の青い神官服に身を包んで戦います。さながら魔法のような錬金術のような……不可思議な導力と呼ばれる力を、『教典』という本を使って様々な形に変えて敵を翻弄します。そんな宗教色が強い独特のバトルスタイルはメノウのもの、同じ導力を利用してもスタイルはモモもアーシュナも全く違うので本当に人それぞれで面白い。*3

 

 

最後に

 

とにかく今推してる最高ライトノベルです、私は女と女が好きなのでまさかこんな作品とGA文庫大賞とかいう滅茶苦茶大々的な場所で出会えるとは思っていなかった。奇跡も導力もあるんだよ……。

以下は処刑少女に狂うツイートです。

 

アア~~~~~~~カワイイ~~~~~ 

 

死が近い 

 

あっ!主語が強いオタクだ!けどヒロインが表紙かざってる的なラノベ認識されてる可能性があんの腹立つのはマジ! 

 

「これは、彼女が彼女を殺すための物語」は一巻帯のキャッチコピーですが、 『誰』が『誰』を、という点に言及してないの滅茶苦茶好きです。冒頭に置いた二巻のキャッチコピーはもっと好きです。

 

スン……(._.) 

 

 そしてこの動画はそんな処刑少女のイラストを使った素敵動画なわけですがこれ本当凄いので見てもらいたいな…とそっとリンクを貼ります…。

 

 

 

誰かにとっては幾度目の、彼女にとっては『初めて』の道のり。『初めて』の感情。――『初めて』の、友達。

そんな彼女たちが送る「処刑少女の生きる道(ヴァージンロード)」、素敵ラノベ、何卒宜しくお願いします!

以上!

 

*1:現に激重感情のせいで死にかけたし

*2:以下画像引用元:

https://ga.sbcr.jp/sp/virginroad/

*3:戦闘、ここにもアカリの信頼が作用してくるのがずるいな~~~と思います。彼女の信頼をモロに浴びるのは多分戦闘が一番だったろうなと思うので。わあお。一巻戦闘ラスト付近の挿絵最高では?