おろかな睡眠不足

好きな漫画やアニメやゲームの感想だったり推薦だったりを語彙力なく語ります

「魔女の旅々」というイレイナさんが罪深いお話

「私、旅人ですので」とかすかした顔で名乗るイレイナさんが好き かわいい

 

ga.sbcr.jp

 

魔女の旅々 (GAノベル)

魔女の旅々 (GAノベル)

 

 

 (いつものあらすじのやつ:灰色の美しい髪をたなびかせ、長い黒のローブをはためかせ。似合いの三角帽を白魚のような手で押さえつつ、ほうきに乗って空を往く。そんな風に遠くの街へと旅を続ける、すれ違う誰もが思わずため息をこぼしてしまう美貌を持った麗しい少女とは一体、誰でしょう?--そう、私です。)

 

作品について

白石定規作「魔女の旅々」は、GA文庫から刊行中のライトノベルです。昨年10月からはテレビアニメも放送されました。かわいかった…。

魔女で旅人の少女「イレイナ」が、ほうきに乗りながら様々な国を旅する中で出会った人や場所にまつわる物語を、日記のように記した物語群。それが「魔女の旅々」です。

 

魔女で旅人…ではなく、旅人になる「ため」に魔女になったのがイレイナ。この世界では魔法が使えることはそう珍しくなく、「魔女」という称号は一種の国家資格のような扱いです。厳しい試験や修行を切り抜け魔女として認められれば、できることが増え、やれることがやれるようになり、恩恵も受けられる。
とある魔女の旅行記に憧れたイレイナも旅をするため、魔女の称号を獲得しました。

そのため、タイトルに魔女と冠しながらも、彼女が扱う魔法は旅の一助となる十徳ナイフがごとき便利ツールであり、彼女が「魔女であること」であったりに焦点が当たることは、さほど多くなかったりします。こういう設定、基本的に細かくなる一方なので、横道は必要最低限という感じで好ましい。

イレイナが魔女であることは基本的には声をかけられたり仕事を手伝ったりなど物語のきっかけに過ぎず、彼女自身と見知らぬ世界(もしくは見知らぬ個性的な人々)との様々な交流が、メインになっています。

 

魔法がある世界だから、基本的にどんな荒唐無稽なトラブルでも巻き起こります。それはイレイナの手におえるものも、そうでないものも。とんだ茶番と笑い飛ばすようなコメディも、それが嘘と思えるくらいにおぞましいお話も。

なんだって同じように一冊の本に押し込まれた、そんな彼女の旅物語。

 

イレイナさんについて

こんなお話の主人公で魔女なイレイナさん。当たり前ですが平凡な女の子…というわけもあまりなく。

類まれな才能を持ち、最年少で魔女の称号を獲得しためちゃすご少女なのですが…しかし、そんな浮世離れな印象のある肩書を持ちながらも、その中身は実に俗物かつ自由です。例えばかわいい顔をしていることを自覚しているので、度々物語のイントロで自分のかわいさと美しさを絶賛したり。こんなにかわいく美しい魔女は誰でしょう?そう、私です。

作中でも何度か周囲の人からネタにされていますし、それを恥じてもいるのですが。かわいいと言われると自然に自分のことか…?と思ったり、お世辞を当然と受け止めるような描写も多々あります。そしてそれを日記に地の文で書くメンタル。なんだこいつ。

また、何よりお金が大好き。金をちらつかされたらおおむねなんだって引き受けてしまうホイホイ。金欠の時には詐欺としか思えない手法で、方々で住民から必要以上に金を巻き上げては憲兵に逮捕されて懇々と説教を受ける要注意人物です。最悪だよ。

各物語、イレイナがトラブルに巻き込まれるケースとイレイナがトラブルを起こすケースとは印象としておよそ半々といったところですが、半々なあたりいかに彼女がいろんな物事に首を突っ込んでいるかがうかがえます。

首を突っ込まれたり突っ込んだりしつつも、誰かとかかわる際は基本的にドライかつ距離を置いたふるまいをするのも彼女らしさ。
それはひとえに彼女が流浪の旅人であり、その出会いが一期一会なことを理解しているからこその意識的なものですが、それはそれとして、彼女の根っこはお人よしだったりします。どうしようもないくらいに。

 

どれだけ小悪党のようにふるまおうと、どれだけドライになろうとしても、結局そうなりきれないのがイレイナさん。頼まれごとを押し切られ、「しょうがないですね…」とやれやれ手伝うのは日常茶飯事。

そして一度懐に入れた人にはかなり優しくなって、軽口をたたきながら最後まで付き合う面倒見の良さもあります。ときにほんの数日の付き合いでさえ、その人のことが心配で、別れると嘘をついて様子を見に行ったり…なんて可愛いことをしたりとか*1

とにかく素直じゃなく、「勘違いしないでくださいあなたのためじゃありませんから」を素で言い放ちそうなツンデレガールイレイナさんですが、まあ、そのやさしさにほだされる人は一人や二人ではないわけで。

 

ほだされる女の子が。

一人や二人じゃないわけで。

 

女たらしイレイナさん

イレイナが通りすがった町や国で女の子を落としていくことを作中では「現地妻」と呼ぶレベルなのですが、夢の中で女の子口説きすぎと説教されるレベルにはある程度自覚的なのが…苦しい…!お前ってやつは…!!!コラッ!(読者説教)

不愛想なふりをしてさりげなく気を回したり悪態をつきつつ率先して手伝ってあげたり、隣で泣いている人を抱きとめてあげたり。押しつけがましくなく、必要なだけのやさしさを差し出すように。
わざわざドライにふるまうからこそ、手を伸ばせる範囲ならなんとか伸ばそうとするのはイレイナのがめつさと並ぶ指折りの特徴で、そんな彼女だからこそ救われた人も少なくありません。初期のころは少なくありませんレベルだったのが、刊行冊数が比例するように人数が増えていき、もはや入れ食い状態。

最近だと何も言ってないのにエッチなことするのかと勘違いされたりとかそんな事例もあったりなかったり*2、イレイナのたらしっぷりというか…この女マジでこういう思わせぶりなことするの…?と思わずドキドキしてしまうムーブはとどまるところを知らない。この女マジか…。

そもそも、付き合うなら「男は絶対無理」なのに「女は無理」に返答をとどめているあたりとか、日記の感想で「女の子が好きなの?」と問われて羞恥にバタバタして客間の枕をダメにしたりとか、もしかしなくても比較的そういう感じの人なんですよね。

 

とはいえ、そんな周囲からの好かれ具合とは正反対に、本人はとかく好意を表に出すことが苦手で、必死の背伸びをして何とか恩師に大好きの一言を伝えられるくらいの不器用さの持ち主なこともあり。基本的に本文中の彼女のデレは「意図して触れられないこと」「淡白に慣らした言葉」などになっています。ホント不器用の極みか?

そんな塩的振る舞いにかかわらず、不器用な彼女の優しさを心から知るが故に長きにわたり熱烈なラブコールを送るのがサヤさんで、そんなイレイナさんを強引に笑顔で振り回してしまうのがアムネシアさんなわけですが、そしてそれらに対して実際のところまんざらでもないイレイナさんなわけですが、はてさて。

 

 

 

緩やかに、穏やかに、あてもなく続く旅路。先々で待ち受ける沢山の出来事。彼女たちの人間模様も含め、ライトな読み物として無茶苦茶面白れ~~~~魔女の旅々、試しに読んでみてもらえたら嬉しいです。

 

あと八巻特典ドラマCDでイチャつくイレイナさんとアムネシアさんを君も聞いて テロだから

魔女の旅々8 ドラマCD付き限定特装版 (GAノベル)

魔女の旅々8 ドラマCD付き限定特装版 (GAノベル)

  • 作者:白石 定規
  • 発売日: 2018/11/15
  • メディア: 単行本
 

 これは現地妻言及も読めるし火花散らすサヤさんとアムネシアさんも見れるし猫耳メイドイレイナさんも見れるうえ最高のドラマCDがついてくる良作 もう実質タダ か…買うしかない…!?

 

以上!

 

 

*1:おおむねそういうことをした(イレイナが能動的な行動を放棄した)時の結末はかわいくないため、かわいそうにな…となる。どんなにつらい目にあっても同じことを繰り返す、そういう所がいいんですけど…

*2:背景が背景だけども。ダークエルフ、こわいね…