おろかな睡眠不足

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『どうして私が美術科に!?』の竹内黄奈子が好き

Twitterでフォロワーが喧伝していた『どうして私が美術科に!?』という漫画がありました。芳文社の漫画が無料で読めるFUZで全話ちょうど読めるキャンペーンをやっていたので読みました。

ちょ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~良かったので全巻買った!やっと二周目読み終えた!すき!なんで連載終了してんの!?きなこっこ嘘みたいに好き!という!話を!します……ドウシテ……

 

 

www.dokidokivisual.com

 

(なぞではないあらすじ:酒井桃音は普通科と間違えて美術科に入学した女の子。居残り教室で出会った黄奈子のお陰で、少しずつ美術のことを知っていきたい…と思い始めます。同じ居残り組の蒼、紫音、すいにゃん先輩と一緒に、美術X室で今日も居残り!)

 

 

相崎うたう作『どうして私が美術科に!?』は、まんがタイムきららMAXで連載されていた4コマ漫画です。タイトル通り、普通科と間違えて美術科に入学してしまったアホアホ主人公酒井桃音と、そんな彼女と美術X室で居残りをする四人の愉快な仲間たちの高校生活一年間のお話です。

『どうして』という表題は、美術科に通わざるを得ない桃音がずっと自分自身に抱き続ける疑問であり、友人四人もそれぞれ美術に対して抱き続ける疑問。Why。――どうして私が、私達が『美術科』に居るのか?そして何を目指すのか?仲良し5人組でいろんなことを話したり経験する中で、少しずつその答えにたどりついていくのが本作のメインストーリーになります。

基本はギャグ。天然が入りまくった桃音、辛辣マイペースな黄奈子、美術に目がない紫苑、フリーダムな蒼、そして美術X室の妖精すいにゃん…こと、留年している一人年上翠玉先輩。毎回終わらない課題にひぃひぃ追われつつ、楽しく高校生活を満喫します。

というかここまで読んで知らない方は読んでもらったほうが早いのでは!?!?!?!?!!?読んでください……

(会員登録無しで3話まで、登録すれば一巻分+二巻一話が無料で読めます!)豆腐の人見てくれてありがとう…

 

comic-fuz.com

 

ネットの海に散らばる感想読んでいると繊細な人間関係の描写が強く推されていることが殆どで、まあその通りなんですけど……そんな覚悟のいる読み方ではなく、ふわっと、この5人が可愛いというだけで読むことだって全然ありだと思うんです。

随所に差し込まれる尊い描写と同じくらい、ちょっと抜けてる彼女たちは楽しく私達を笑わせてくれるので。

まずは手始め、軽い気持ちで読んで欲しい、そしてあわよくば深読みして欲しい、様々な感情を…。そういう…。そういう気持ちがある…私自身が最初から難しく考えるのメチャクチャ嫌いなんだ…そのせいでこの作品をずっと知っていたのに読むのをためらってしまったという過去がある…ので…ふわっと…まずはふわっといこうぜ…。

 

めちゃくちゃ好きな話(竹内黄奈子が好きな話) 

 ※だいぶ偏った話になりますしがっつり三巻までのネタバレがあります。マジの感想です

 

えっれえ好きな登場人物の一人、竹内黄奈子という少女がいます。ぶっきらぼうで無愛想、いつも眠たげな面倒くさがり屋。目付きが悪い。口も悪い。

どこかシンパシーを感じたのか庇護欲をそそられるのか…等の明確な動機は不明瞭ですが*1、いたく桃音を気に入っている。桃音だけなんですよ距離が果てしなく近いうえ存分に嫉妬を押し出す相手*2。そして、美術科は不本意ある旨がささやかに語られる少女。

そんな彼女は、性格から反さず人付き合いが苦手な女の子です。普段は桃音を介してなんとかコミュニケーションが成り立つのですが、こと高校から知り合った紫苑と蒼の幼馴染二人組と一対一で関わる事を億劫と困惑半分で避けようとします。

所謂『一人を媒介に知り合った友達と普段は3人仲良くしているけど、媒介となった人がいなくなるとどう接していいかわからなくなる現象』ですね。そんな名称あるのか?

 どうびじゅ*3における主人公が桃音で有ることは間違いなく、しかし並行して、この作品では黄奈子という女の子の物語も長期にわたり展開されます。彼女が不本意な美術科にいるわけ、苦手な二人との交流、美術との向き合い方、そして両親との向き合い方。

特に五人組を前提とした内輪のアプローチ話はしっかりと。幼馴染二人組な紫苑と蒼と、彼女は自分との共通項を見つけることで少しずつ親睦を深めていきます。それは主人公たる桃音は関わらないささやかな成長。雑に5人のやり取りの中で「仲良し!」で片付けても良い話を、わざわざ一話分ずつ、黄奈子と紫苑/蒼の二人メインで展開するあたりに、作者さんの人間関係へのこだわりを感じます。

竹内黄奈子の表情は桃音に向けたふにゃったものや翠玉先輩との辛辣なものまで様々に好きですが、特に三巻に収録されている蒼と二人のお出かけの最後の『悪い顔』が本当に好きなんです。あの、蒼へ気を許したことが丸わかる瞬間、マ~~ジで良い……。蒼の抜けた返答もかわいい。誰も彼もが可愛いな!?!?

基本、関係性はライトなものが好きなので、向ける感情が重すぎるキャラを若干敬遠してしまうところがあるのですが、 黄奈子はその上で本当に好ましくて仕方ないキャラなんですよね。二巻の演劇シンデレラも大好きなんですが、相棒的関係性執着オタクの私の中でそれがガッチリ確定し(てしまっ)たのは翠玉先輩がメインのお話でした。

 

菱川翠玉と竹内黄奈子。まず前提としての中学からの付き合い、というにも関わらず、一~二巻分におけるこの二人の描写はあくまで名前呼びに留まる程度のものでした。もしくは付随して、ちょくちょく互いが互いに関する情報をフォローしたりするくらい。後ナチュラルに互いに無遠慮。

翠玉の下の名前に関する呼び方で、誰もが彼女の自称&推奨する「すいにゃん」と呼ぶ中、ただ一人、本当に後輩としての立ち位置を経験した黄奈子だけが彼女を頑なに「翠玉先輩」と呼び続けます。呼ぶ。あとは概ね普通。以上。

普っっっ通~~~に考えてもっとなんかないのか!?!?!?!?とびっくりしました。も~、すいはびっくりだお…。うそだ…本当に、そんなに、なにもなかったのか…?こんな個性全振りの先輩と無気力後輩がわざわざ互いを認知した上で、無遠慮乱雑対応はいつものこと、顔を合わせたときにからかうような素振りを見せる程度に後輩も意識しているのに、本当に、取り立てて、語ることが、ないのか…?

結局、全巻を通して彼女たちの過去にあっただろう多くの交流が明確に描写される事はなく(二人が文としてサラッと断片的に説明する程度)、その殆どが謎に包まれて終わります。しかし、わずかながらに垣間見ることのできるお話が、あった~~~~~!!!!うれし~~~!!!

 

単行本3巻、32話~33話。2人が中学の美術部の頃の焼き増しのように学外展の委員に選ばれるところからお話は始まります。この2話は連続して二人をメインとして進んでいくんですが、連載期間における二ヶ月間をふんだんに使用して翠玉の抱え込む体質とずっとそんな彼女の後輩である黄奈子の関係性がじっくりと描写されます。突然の莫大な供給、初めて読んだ時悲鳴をあげなかった自分を褒めて欲しい。

3巻全体的にカルピスの原液を飲まされてるのでは?と思うくらい内容が激濃なのに減糖なのでスルスル飲めちゃう☆とキャッチコピーが銘打たれてしまう読みやすさで最終的に死に至るのですが*4、ま~~~~個人的にべらぼうに最高でしたこの二人。

翠玉には『すいにゃん』という絶対に保ちたいキャラがあって、黄奈子には確かな彼女の後輩という自負があって、けれど素直じゃない二人はその「内に隠した心情」をなかなか表に出さない。出さないままの均衡が、高校という場所において翠玉の失態で崩れる連続二話であり、桃音に酷いことを言われても淡々と怒っていた黄奈子が、全体を通して唯一感情を露わにしてキレる話です。その内心を考えるだけでますます大好きになってしまうよ竹内黄奈子!そしてそれに応えるように、けして外れることのなかった『猫かぶり』の猫耳フードが外れる「すい」じゃない、けれど確かに翠玉である「私」、ア、ア、アヴァヴァアヴァ…(過呼吸)

最後、互いが互いにおいてどんな立ち位置であるか、を自ら口にする超ヤバイシーンがぶち込まれるんですが、その〆方も信じられない位整ってて、ああこの二人はずっとこんな風に軽口を叩きあいながらささやかに触れ合いながら互いにどうでもいい感情に振り回されながらやっていくんだろうな、というのが感じられて~~~~~~~好き………です……。

 

 

おしえて!きららファンタジアの連載終了とどうびじゅの連載終了がこの世の最も悪なものとして取り上げていきたいくらいにはドウシテ…ドウシテ…と鳴きながら生きています。この世ってこんなにままならんのか?

現状どうびじゅの新規展開は望み薄であるため、もうこうなったらきらファンに召喚するしかないのでは…?イベントシナリオ『どうして私がエトワリアに!?』、実装お待ちしています!

 

以上!

*1:人はそれを一目惚れとでも呼ぶのかもしれない

*2:しゅーちゃんとのやり取り、マジであんな不安要素まみれなところから最終話に行きつくの天才すぎる…。

*3:どうして私が美術科に!?の略称

*4:手前の幼馴染ーズも後の中学同じクラスーズも大概ヤバすぎてヤバいのでヤバさを読んで感じてください