おろかな睡眠不足

好きな漫画やアニメやゲームの感想だったり推薦だったりを語彙力なく語ります

「子ひつじは迷わない」が大好きという話

(あるいは「探偵くんと鋭い山田さん」が最高な話)

 

.vs 玩具堂

 

女と男と女を並べると「嫐(ウワナリ)」と読むことをこの方の作品で知りました。まあこの表現が一番似合うのはCtGなんですけど、という所は置いておいて。

 

sneakerbunko.jp

 

(不必要あらすじ:成田真一郎は生徒会の書記。生徒会長の突飛なアイデアで始まったお悩み相談室――通称「迷わない子ひつじの会に持ち込まれた問題に、同じく書記の佐々原と挑むことになった。しかし答えはとんと見当もつかないときた。頭を悩ます彼らを(意図せず)救ったのは、隣の空き教室に居座るとある物ぐさ女子だったが――?)

 

作品について

玩具堂作「子ひつじは迷わない」は、スニーカー文庫から刊行されていたライトノベルです。主人公の身勝手自己犠牲ボーイ成田くんとちょっとズレてる同級生の佐々原さん、そして生徒会隣室に住み着く不機嫌痩せぎす少女な仙波。この三人で挑む、生徒会に持ち込まれる「ヒネた」難問にまつわるあれこれを綴っている作品。

基本的に一話完結でありながらも、前に関わった登場人物や以前解決した問題が尾を引いたり絡んできたりと、巻を重ねて綿々と続く生徒会とゆかいな仲間たちの活動が面白い。

 

 登場人物

主人公、成田くんは一言で表すならお人好しの高校一年生。安請け合いで痛い目を見ると分かっていても、それを覆すことをしない。

良くも悪くも真っすぐで、融通が利かないお節介…のように見せかけて、必要な機転を利かせる知恵がある厄介な『自己犠牲の塊』。(だからこそそれを嫌う人がいて、それに惹かれる人がいる)

 

佐々原さんはそんな同級生で同じ書記の成田君に憧れを抱く、ぼんやりとした女の子。人と少しだけズレたセンスを持っているせいで浮きがちなことを気にしているからこそ、まっすぐな成田の在り方をまぶしく思っている。(だからこそ変わりたいと願っていて、でも肯定してくれる誰かがいる)

 

最後、仙波はまあ癖しかない癖っ毛毒舌少女。この世で一番唾棄するものは成田と言って憚らない暴言魔人。様々な知識に精通していて頭も回る切れ者であることを誇ることもなく気にすることもなく。好きなように、怠惰にマイペースに生きていて、最近ちょろちょろ絡んでくる二人のことをうっとおしがりつつ、二人に――特に成田に影響を受けて、色々変わりつつある女の子。(だからヤツが嫌いで、だから――)

 

 あらすじ

この作品のあらすじは基本明快です。生徒会のお悩み相談室「迷わない子ひつじの会」に持ち込まれたいろんな難題を、成田くんと佐々原さんが隣室の仙波のところに持っていく。

相変わらず嫌そうな顔で出迎える仙波を何とか二人が説き伏せ、薄い壁越しに相談内容を聞いていた仙波の先導で、三人一緒に謎解きをする。

そして導かれたその結末を――成田くんがそぐうように言い換えて(・・・・・・・・・・・・・・・・・)、相談者に伝える。これが一連。

 

明快なのに、とにかく「ありきたり」では終わらない。仙波の閃きと塩対応、まっすぐ進まない成田くんの頑張りが掛け合わさって、予想もつかないあらぬ方向へ転がっていく快感が子ひつじの真骨頂。

主軸となる「謎解き」の面白さも同じです。子ひつじの会に持ち込まれるのはとかく一風変わったお悩みの数々です。その解法も様々。結末からの逆算、架空の出来事の理由付け、はたまた色恋沙汰に過去の因縁まで。生徒会で、学園内で、時に夏の屋敷で時に冬の山荘で、様々な難問にぶつかっては、凸凹な三人組は答えを見つけていく。そこに悪はなく、「死」も「罪」もない。だってこれはお悩み相談室だから。気楽に、されどしっかりと組み立てられた謎に、ワクワクさせられること請け合いです。

 

 

特に好きな所

そしてそのあらすじと絡んで状況を最高にややこしくするのが、彼/彼女の抱く感情の数々。成田くんの障害ばっかりな恋心の空回り、仙波の気持ちと行動のままならなさ、気づきからポイント制にシフトする佐々原さんなどの、あのめちゃめちゃにズレた出力がたまらない。噛み合うようでまるで噛み合わない、そんな複雑怪奇な青春模様。

これは玩具堂先生の作風というか全作品に共通する話ですが、とかく言葉回しや認知、感情の揺らぎに関する表現がものすばらしく、とてもやみつきになるんですね。

内面に関しての描写がえげつないくらい丁寧で細かくて、一つ一つ他に例をみないような言い回しをされるんです。文章自体にも結構癖があるのもそう。ああもう好きなんですよ…この方の作品が…!

 

子ひつじで言えば「成田真一郎(なるたまいちろう)」という独特の読み方の名前に発端する性格定義、肌のふれあいと認知の変質をリンクさせる学園祭後の会長とのやり取りは特にお気に入りです。後者は尾を引いてクリスマスでよりややこしくなってるけれども。まあなるたまが悪いよなるたまが。

 

 

まとめ

といった具合に、個性豊かな登場人物ヒネた謎解きままならない人間関係

子ひつじは迷わない」は、一風変わった推理物を求める人におススメかもな一作です。ぜひぜひ、読んでみて貰えればな~と思います。

 

 ちなみに

ちなみに。作品についてで「刊行されていた」と表記したのはこの作品の刊行が2012年に発売された6巻で止まっているためですが、私は子ひつじの無限の可能性を信じ続けているので再開もきっと…えっ?8年前…?…oh…before eight years…まだ義務教育終わってない頃じゃん…

 

 

 

閑話休題(それはさておき)

 

 

 

 

ここから雑記です。

何となくここまでの熱量で察してもらえてるかな~とは思うんですが、私、そのですね…………「子ひつじは迷わない」がめttttttttttttttttttttttttttttっちゃめちゃ好きです。

 

 半ば怨念のように、機会があれば当作の言及をしています。上記のように一番好きなライトノベルは?とかお気に入りのライトノベルは?とか聞かれたら必ず子ひつじを挙げるくらいに好きです。超好き。玩具堂先生の作品は全て目を通していますが(作風が好きなんです)、その上で一番好きなのが子ひつじです。ぱやきのさんのストラップが欲しかったんですよ。

一応二次創作等に手を出す文字書きの端くれでもあるのですが、そっちの方でも文体や言い回しにまあまあな影響を受けた自覚があります。よくモノをうっちゃったり、ものすばらしく褒めたりします。すーーーげえ好きなんでちょくちょく薦めていたら、フォロワーが一人、全巻読んで七巻を探しに行こうとしてくれたのでゲラ笑いながら感謝しました。HAPPYかよ。

 

とかく私は刊行が止まってから8年間、「玩具堂先生の学園推理物」をいつかいつかと待っていました。でもCtGも好きでした。CtGならフユフが好きでした。幼馴染が絶対に負けないラブコメ(願望)の続きも見れてないんだよなそういえばと急に切ない気持ちになってきたりもしたけど、漂流王国経て好きって言えない帆影さん以降ぱたりとやんだ音沙汰に憂いていました。好きって言えない帆影さん、玩具堂先生の思考ゲーム的なところを深掘りトリミングした感じで良かったけどまたべきぼこにニッチなので来たな…って変な笑い浮かんだな…何故こんなに思考が逸れる?

しょぼしょぼしながら延々バレンタインデーのPDF*1を読み返していたところ、先日、ふとBookWalkerの通知が目に入っt

 

 

 オタクはわが目を疑いました。玩具堂先生の学園推理物」が発売されようとしている…。

 

 

発狂したら公式にRTされたのでウケました。取り敢えず良く分からないのでカクヨムで真偽を確かめたら満場一致で””””””””真”””””””””でした。え、逆に何を疑おうとしてたの??

 

 

一応外出自粛の叫ばれる昨今、買い求めるならAmazonが最善かな~と思っていたら特典一覧にアニメイトの文字g…エッ!?!?!?!?!?ボイスドラマのみでなく店舗別特典!?!?!?!!?!?!?リーフレット付き!?!??!?!?!???!?????!?!?

上のツイートクソ冷静なんですけど、内心ぐっちゃで一周回って謎の凪いだ感情を持て余してました。

 

そして内心ぐっちゃで気が狂ってるので閉店一時間前にメイトに繰り出しました。夜だからセーフだよ。店舗で手に取って初めてこの作品がレーベル違うことに気づくくらいには重症でした。

 

 

つまり?

ウギャラビー!(『探偵くんと鋭い山田さん』はMF文庫Jから好評発売中!最高のボイスドラマと試し読みを君も見てくれよな!)

 

 以上!これなんの話だったっけ…。

 

*1:VS毒突きチョコレート事件。

玩具堂桟敷 子ひつじは迷わない で公開中。超大好き