おろかな睡眠不足

好きな漫画やアニメやゲームの感想だったり推薦だったりを語彙力なく語ります

『誰ソ彼ホテル』のススメ

――ようこそ、人生”最期”の謎解きへ。

というキャッチコピーが誰がためのフレーズなのか考えるところから始めます?

 

 

 

まえがき

脱出ゲーム、というジャンルがあります。室内、建物、船内、洞窟etc…と様々な脱出不可能な『密室』において、その場にあるものを利用したり、仕掛けられたギミックを解くことで、そこからの脱出を試みるゲームです。

脱出ゲームのあり方は多岐にわたります。アプリ、ゲームブック、ゲームソフト、実地*1と、形態もさることながら、ゲームの進行もシンプルにその場から脱出することのみに重点をおいた形のものや*2、シナリオを付随させることでキャラクター視点からRPG的に謎を解くタイプの物などさまざまです。

かくいう私もそういったひらめき系のコンテンツや物語が好きだったので、長らく進行的後者であるところの3DSのダウンロードソフト『脱出アドベンチャーシリーズ*3』にとらわれていました。いや分解組立チョ〜〜〜楽しいし、えっクロノテクト欲しくない?ほしい!!というかいつかこっちの記事も書きたい!

 

そして私の現在の推しが、そんな『脱出』の名を冠するアプリゲーム、脱出アドベンチャーノベル『誰ソ彼ホテル』です。

このゲーム、脱出ゲームのシステムを利用して、なおかつそういう風に名乗っているにも関わらず「主目的が謎解き、かつそれほど脱出もしない」という奇天烈な作りをしています。えっ脱出…脱出、した?一応してる…?

 

 

se-ec.co.jp

 

(なんとなくのあらすじ:生と死の狭間にある『黄昏ホテル』。このホテルが存在する目的は、「訪ねてきた魂の行き先が、生か死か」はっきりさせること。そこへたどり着いた主人公の塚原音子は、自分の行き先がわかるまで、黄昏ホテルのホテルマンとして働くことになりました。先輩の阿鳥やルリ達従業員と一緒に、お客様の行き先を見つけるため奔走しながら、自分がこのホテルに来た理由を探しますが…)

 

アプリについて

『誰ソ彼ホテル』は、Android/iOSで絶賛配信中のスマートフォン向けアプリゲームです。

なんと、無料でメインシナリオを全て読むことが出来ます!これは嬉しい! 

脱出アドベンチャーノベルの名にふさわしく、シナリオで魅せてくるタイプの脱出ゲームとなっています。というか私が絶賛している点はおおよそそのシナリオに起因するんですが絶賛ポイントがもれなくネタバレになるので、遊んでくれよな!!!!としか言えねえ…ネタバレにならないように推していきます

 

システムについて

お客様の生死の行き先――ひいては記憶を取り戻すことが主目的であるこのゲームでは、滞在するお客様の部屋に現れる謎やギミックを『探索』し解くことで、報酬として「お客様の記憶に関するアイテム」を入手することが出来ます。

そしてそれを使い、お客様を『尋問』することでお客様が何者であるか、どうしてこの生死の狭間にやってきたのかを解き明かしていきます。尋問、言葉があまりに穏やかじゃなくて笑っちゃうんですけど、この『探索パート』『尋問パート』、加えてテキストのみの『ノベルパート』の三種が積み重なる構造でゲームは進んでいきます。いや本当に脱出しねえな!?

 

(余談 脱出しない脱出ゲーム、これを先程奇天烈、と表現しましたが、調べた限りそれらはこのアプリの開発元であるSEECの定番の仕様となっているっぽいです。

また、誰ソ彼はこの構造的シリーズ、SEEC開発の『脱出アドベンチャーノベル』四作目に当たるそうです。ナンバリングとはいえ特に他作品との関連性はないため、誰ソ彼から始めても何ら問題はないです。やろう、誰ソ彼!つむろじもやろう*4 )

まあ広義で見れば黄昏ホテルからの脱出、という風に見れなくもないけど(公式にも書いてあるけど)あまりにも視点がマクロすぎる…。そも主人公が意識してないのに意識できるか

 

謎解き自体は比較的優しく、いわゆるお約束なギミックが多いため、こういった形式のゲームにも不慣れな人でも楽しみながら解くことができます。とか油断してると弩級の難問ぶつけてくるから油断ならないんですが…。

尋問パートは手に入れた手がかりだけでなく、ノベルパートの些細な会話が手がかりになることがあるため、推理はまあまあ真面目に取り組まないと混乱することがあります。しました。ので、どれを外しても飛ばしても先に進めないため、注意深く取り組むのが吉です。まあ、攻略サイトも色々あるし、アプリ内にもヒントを閲覧する方法があるので、まず行き詰まることはないです。気楽に始められます。始めるしかないのでは????

 

アレなところ(基本無料の反動)
  • チケット区切りが短い

1日5枚のチケットが配られて、チャプター5つ分を読むことが出来るけど、チャプターの長さがまちまちすぎる上に全体的に短くおまけに半端。間違いなく飽きる人は飽きる。早く読みたきゃ課金しろという圧 頼むからプレイヤーには圧に負けてやめないでほしい

  • 謎掃除

タップでホコリを掃除してポイントを貯める、アプリ内ミニゲームでポイントを貯めないと特定のチャプターから進めることが出来ないのにポイントの貯まりは遅いし要求量がメチャクチャ多い。飽きる人は飽きる。早く読みたきゃ課金圧 お願いだから負けないでほしい

  • 動画

もうこの手の無料ゲームには当然のようにつきまとう動画、動画に次ぐ動画、動画、そして動画。広告に無条件の服従をしないと謎掃除ポイントのボーナスも追加のチケットも貰えない 圧 負けないで

 

シナリオについて

や~~~~~~っと本題だ(本題に行くまでが長くね…?)

ノベルパートは所謂ノベルゲームと同じ仕様で、選択肢で分岐する物語になっており、(そこまで複雑なものではないけれど)特定の選択肢を踏むことでトゥルーエンドや、分岐したアナザーエンドに進むことが出来ます。

中身は個性豊かな登場人物に負けず劣らず個性全振りのドルオタ音子ちゃんが並み居る客どもを蹴散らしていくお話です!そこまで無慈悲ではない。あらすじ読み返せ!!!

というわけで、公式サイトからの引用です。

 

ようこそ、人生"最期"の謎解きへ。

 

昼も夜もなく、一日中夕暮れに染まっている「黄昏ホテル」。

そこは、あの世にいくか現世に戻るか

行先を決めかねている魂たちが羽を休めるために存在する。

 

自分がなぜ生死をさまよっている状態なのか

全く思い出せない主人公「塚原音子」は、

支配人の計らいでホテルマンとして働くことに。

頭が燃えている支配人、超イケメンな先輩・阿鳥遥斗、

ホテルの良心である厨房担当のルリ、

バーを営む不思議な角をはやした瑪瑙(めのう)……

個性豊かな従業員たちとともに出迎えるのは、

音子と同じく自分のことを思い出せないお客様。

パチンコ玉頭や仮面カップル、パンジー頭など、

とにかく不思議でワケありなお客様たちの

記憶を思い出す手助けをする音子だったが、

とある事件をきっかけに、ある野望を抱く。

 

音子は、生死の狭間にある黄昏ホテルから

無事現世に帰れるのか――?

 http://se-ec.co.jp/appli/tasokarehotel/story/

 

 

誰ソ彼で所謂メインとして扱われるのは主人公の音子ちゃん、先輩の阿鳥、そしてここには名前のない大外という男*5になります。

この三人の形成する、奇妙な…とある三角関係が、時と共に浮き彫りになるにつれ、物語は大きな転換を迎えます。

 

主人公の塚原音子は、外見含め様々なところが「主人公らしくない主人公」です。怠けたり茶化したりごまかしたり、かと思えば機転が利いたり、そう思えばなんてこと無いシーンでとちったりと、飄々としていて掴みどころのない女の子。染められた紫のおかっぱヘア―、死んだ目と評される無気力な瞳、感情に乏しい表情。――そんな彼女が楽しげに相対する姿が、最悪の宿敵との最高の瞬間。

 

先輩である阿鳥遥斗は、非常に整った好青年です。顔良しスタイルよし性格よし物腰よし笑顔よし、外見は浮世離れしているものの、それも彼の魅力の一つです。悩みは入れ食い状態のため一人の女性と長く続かないこと、という、とんでもモテっぷりを嘆く姿も様になる。奔放な音子を御しつつ、生業のホテルマンとしての有能さを存分に発揮し、黄昏ホテルに欠かせない人物になっています。――希薄である彼が、その瞬間に願う幸福は誰がためか。

 

来客者である大外聖生は、頭の切れるインテリな青年です。浮かべる穏やかそうな表情、整った容姿もさることながら、色々博識と、ある面を除けばいっぱしの完璧秀才野郎。とある『事件』の後は音子を何かとからかったりいじめながらも、その思考を十全に発揮して、時に音子の助けもしてくれます。――一途に求めるその人を、手に入れる"だけ"では終わらない。

 

まとめ

誰ソ彼ホテルは人間の物語です。『お客様』のことを深く解き明かすことで、その人について知ることができる。

それは人間というガワを取り繕うことで成り立つ生き物の、知りたくない側面も暴くことでもあります。もしくは「知らないほうが良かった事実」を、暴くことでもある。

この事は鏡のように、従業員であり、元々お客様であった音子と阿鳥らにも当てはまることです。同じ元お客のルリとは違い、この人達は今も、自分たちの行き先が分からないまま働いています。…いつか、それらが暴かれて。どうしようもなく進退窮まったその時。

音子ちゃんは――アナタは、何を選ぶ?

 

誰ソ彼ホテルは人間の物語です。

――歪にゆがんだ人間達の、生と死を巡る、物語。

 

 

みたいな〜!!!!感じの〜!!!!テイストを楽しめるオタクは是非是非やってほしい!!!!!!!!!はい!!!!!!!!!オタクの文章なので解釈には都度ずれがあります!!!!!君の目で確かめて!!!!!!!!

いやそんなんちゃうし…って人は抗議ください

 

 

余談

のと、これはあまり本ブログには関係ないんですけど!

特スト含めた阿鳥先輩の考察をされてるこちらのブログが本当に本当に素晴らしくて、もし、このブログを誰ソ彼既プレイな方がおいおい(笑)ススメって……(笑)みたいなノリで読んでくれているなら、ぜひ続けて読んでもらいたい記事です。

本当にすごい。阿鳥遥斗の解釈が深くなってはーーーーーーとなる  なった  私阿鳥遥斗好きなんですよ、いや本当好き もっと好きになる

(※あらゆるネタバレが含まれてますので未クリアor有料コンテンツ未購入の方には残念ですがオススメしません!特スト買ってフルボイスの阿鳥遥斗(cv.酒井広大)を味わおう!!!!)

comicanalyze.hatenablog.com

 

 さいごに

語ったらきりがないので、それでは本日はこの辺で。

一筋縄じゃいかない系アプリ『誰ソ彼ホテル』――どうぞインストールご来館の方、お待ちしております。

*1:巷で話題のリアル脱出ゲームも、名前のとおりその系譜

*2:『THE 密室からの脱出』シリーズなど

*3:

脱出アドベンチャーシリーズ ポータルサイト

*4:とってもたのしい(広義)大学生活をエンジョイ!五作目、紡ロジック!

*5:公式のキャラクター一覧には名前があるけれど、追加登場人物のため