読み返しすぎたために読書体験が記憶をなぞる行為と酷似していて読書とはなんぞや?となるコンテンツです。大好き。
生徒会の一存 碧陽学園生徒会議事録1 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 葵せきな,狗神煌
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: Kindle版
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『生徒会の一存』には、確か小学生の頃出会いました。図書館の好みの青い鳥文庫を大体読み尽くした末*1にYAコーナーで……だったような。読んでドハマり。初めて買ったラノベは、これかバカテスか吉永さんちのガーゴイル、ってところです。……名前並べたら懐かしすぎて涙出てきそう。
つばさ文庫で一巻が出てたので手を出せたのを覚えてます。いやファンタジア文庫版は挿絵の狗神先生の絵がエッチすぎて……何で生徒会室でただ喋ってるだけのラノベのカラーページがあんなエロいんだよ……。
(テンプレのあらすじ:碧陽学園生徒会は、人気投票によって選ばれた四人の美少女と、成績学年一位の『優良枠』から希望した一人によって構成されている。しかし今年の優良枠は、美少女ハーレム形成を目論む男子だった!『好きです、超好きです!皆付き合って、絶対幸せにしてみせるから!』━━とかそんな宣言もあったりなかったり、今日も生徒会室では楽しいおしゃべりが続いていく。まったり)
作品について
葵せきな作『生徒会の一存シリーズ』、もしくは『碧陽学園生徒会議事録シリーズ』*2は会話劇を主体にしたギャグ7割シリアス1割ラブコメ2割のライトノベルです。ハーレムっつってんのにラブコメ要素少ないな……。いや後半はすごいんですけどね!ホントだよ!
全般の語り部かつこのシリーズの作者*3でありハーレム野郎の生徒会副会長『杉崎鍵』と、人気投票によって選ばれた四人の━━一癖も二癖もある━━美少女達が、ただ喋ってるだけ(?)という、日常もの小説の先駆けみたいな作品です。作者自身も『4コマ小説』と紹介するほど短いスパンで起承転結のオチがついていくため、4コママンガを彷彿とさせます。発売当初こういった「何も起こらない会話ばかりの作品」というのは珍しかったらしく、かなりの冒険作であったことがあとがきやムック本で触れられています。今読むとそう突飛には思えないので、時代の変化を感じますね…。
よく四ページ小説のGJ部と並べられたりしますが、あちらよりも一話ごとが長めに、ギャグ強めに、という感じです。GJ部も好きです。久々に読んでみようかな?
本編の特徴は、ギャグ時空特有の『ふしぎパワー』とか『夢オチ』とか『次の話でなかったことに』とか、メタネタとか時事ネタとか出版社ディスりとか何でもありのやりたい放題なところ。
生徒会室でしゃべってるだけなのに記憶喪失も起こるし(??)、とくに伏せ字まみれになることすらあるパロネタの多さはすごいです。数年越しに読み返すと、自分の知識の深まりを実感できてしまう。いや本当に、ドラマからアニメから漫画からゲームまで、カバーしているネタの幅が広い!兎に角広い!読むときはスマホ片手にじゃないと追い付けない……!
キャラクターについて
とくに会話を面白くするのが、生徒会メンバーそれぞれの個性だと思います。生徒会の一存において、登場する役員はそれぞれボケにおける特徴と持ち場が決まっています。会話における担当、発言のテンプレート。
四ページ近く地の文なしでかっ飛ばしても、ごちゃまぜでも、どのキャラとどのキャラがしゃべっているのかということに一切不都合がでないレベルに固められてます。これ普通にすごいことだと思うんですよね。明確にボケツッコミが定められてないため、シーンごとにガンガン立場が切り替わるのにも関わらず、ですから。呼称と口調とで基本キャラ特定が容易になってるからですね。こういうの分かりやすくていいなあって思います。
ラブコメについて
何がいいって本編全十巻、番外編全八巻+アフター二冊やってるわけなんですけど、本編一巻の時点で既にメンバー四人とも鍵のことを認めてるんですよね。みんな鍵が馬鹿なことしなければ普通に好きになってくれるのに、それに気づかないのは鍵だけ。だからいい。10巻通して杉崎鍵の高校二年生の一年間をやっていくわけなんですが、サザエさん時空じゃないんですよね。不可逆。だからこそ徐々に鍵に対してメンバーの恋愛的好感度が高まるにつれ、会話ややり取りにも変化が生まれるのは面白くもあり寂しくもあり。10巻は本当に泣いた。『新生徒会』含めるなら個人的にはカガミが一番つらかった…お前だけはセンパイを嫌いでいてほしかったんだ私は…。
シリアスについて
五人とも、実は抱えているものは結構大きかったりします。そのトラウマめいた過去をネタにすらする時期を迎えるのはだいぶ早いんですけど。会長さんは…まあ仕方ないとして、いや知弦さん一番笑えないのに…そんな会話の流れでサクッと…。そことの折り合い付けとか、企業との抗争とか*5(?)シリアスはちょくちょくちりばめられます。必要性がどれほどかなんて私には分からんのですが、企業編に関してはキー君がカッコいいのでオールオッケーですね!ヒューッ!五彩!!
特に鍵が生徒会を目指す過程はいいお話でお気に入りです。生徒会役員杉崎健がどうやって生まれたのか……四季を冠する4人*6との出会いとそれに受けた影響……後水無瀬……それと水無瀬……大体水無瀬では?葉野菜食ってろ
本編より本編してるとは作者談、番外編に当たる曜日シリーズ*7も普段とは違う役員の皆がみられて面白いです。シリアス具合が高めな分、周りから鍵がどういう風に見られているのか、みたいなのがよく分かる。いいやつだけど致命的にバカってまあ普段の会議とほぼほぼ変わらんのですが。中目黒君いいキャラなのに本編だと鍵のいじり要因にしかならないのが寂しい。真冬ちゃんハブの理由づけとなる話のアキバくんのから回り具合は読んでてしんどかったけど、真冬ちゃんがキー君以外と喋ってるのなんか…よかった…(?)
その他
アニメも一期はいい出来でお気に入りです。アニオリも悪くなかった。Lv.2?記憶にないですね
個人的にアニメと同時に発売されたキャラクターファンディスクについている、60分弱のドラマパート、はちゃめちゃお気に入りです。神がかって面白い。キャラソンも聞けば聞くほど癖になるし、そもキャラソンネタをちゃんと本編の会話から拾っているという時点で評価ウナギのぼりだし。暇があると聞いてしまうから小説と同じかそれ以上に展開覚えちゃったよ。もし生徒会が好きで聞いたことない人がいたら是非聞いてほしい。役員の好きなガ〇ダムを知って。あと鍵子ちゃんを愛でて。
TVアニメ「生徒会の一存」キャラクター・ファンディスク「杉崎鍵」
- アーティスト: 近藤隆
- 出版社/メーカー: AMG MUSIC
- 発売日: 2010/04/23
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後個人的に、『イベントごとの話をしない』という点をけっこう評価してます。生徒会なんだから文化祭でなにをしたか!とか、そういう話があってもいいのに、あるのは忘れ物の話だけとか。クリスマスもまともにやらないし、せいぜいバレンタインくらいかな?アラキークングウゼンネ。えっ荒木君?あくまでメインが生徒会室の駄弁りである、という軸はぶれないんですよね。そも鍵の目的もそこにあるし。卒業式は、例外です。
そういうの(日常のみを抜き出した描写)はゆゆ式にもちょっと通じるところがあるな、って思います。キャラ同士のボケツッコミが入れ代わったり担当がある、というところではこみっくがーるずとか。……あっ、私の好きなものがここに……!?
そんなわけで大好きな生徒会のお話でした。
他の生徒会も役員共とかヲタのしみ。とかキリカとか子ひつじとかいろいろあるけど……いや生徒会多いな?