おろかな睡眠不足

感想だったり推薦だったりを語彙力なく語ります

『生徒会の一存』をふと読み返す

読み返しすぎたために読書体験が記憶をなぞる行為と酷似していて読書とはなんぞや?となるコンテンツです。大好き。

 

 

生徒会の一存』には、確か小学生の頃出会いました。図書館の好みの青い鳥文庫を大体読み尽くした末*1にYAコーナーで……だったような。読んでドハマり。初めて買ったラノベは、これかバカテスか吉永さんちのガーゴイル、ってところです。……名前並べたら懐かしすぎて涙出てきそう。

つばさ文庫で一巻が出てたので手を出せたのを覚えてます。いやファンタジア文庫版は挿絵の狗神先生の絵がエッチすぎて……何で生徒会室でただ喋ってるだけのラノベのカラーページがあんなエロいんだよ……。

 

(テンプレのあらすじ:碧陽学園生徒会は、人気投票によって選ばれた四人の美少女と、成績学年一位の『優良枠』から希望した一人によって構成されている。しかし今年の優良枠は、美少女ハーレム形成を目論む男子だった!『好きです、超好きです!皆付き合って、絶対幸せにしてみせるから!』━━とかそんな宣言もあったりなかったり、今日も生徒会室では楽しいおしゃべりが続いていく。まったり)

 

作品について

葵せきな作『生徒会の一存シリーズ』、もしくは『碧陽学園生徒会議事録シリーズ』*2は会話劇を主体にしたギャグ7割シリアス1割ラブコメ2割のライトノベルです。ハーレムっつってんのにラブコメ要素少ないな……。いや後半はすごいんですけどね!ホントだよ!

全般の語り部かつこのシリーズの作者*3でありハーレム野郎の生徒会副会長『杉崎鍵』と、人気投票によって選ばれた四人の━━一癖も二癖もある━━美少女達が、ただ喋ってるだけ(?)という、日常もの小説の先駆けみたいな作品です。作者自身も『4コマ小説』と紹介するほど短いスパンで起承転結のオチがついていくため、4コママンガを彷彿とさせます。発売当初こういった「何も起こらない会話ばかりの作品」というのは珍しかったらしく、かなりの冒険作であったことがあとがきやムック本で触れられています。今読むとそう突飛には思えないので、時代の変化を感じますね…。

よく四ページ小説のGJ部と並べられたりしますが、あちらよりも一話ごとが長めに、ギャグ強めに、という感じです。GJ部も好きです。久々に読んでみようかな?

 

本編の特徴は、ギャグ時空特有の『ふしぎパワー』とか『夢オチ』とか『次の話でなかったことに』とか、メタネタとか時事ネタとか出版社ディスりとか何でもありのやりたい放題なところ。

生徒会室でしゃべってるだけなのに記憶喪失も起こるし(??)、とくに伏せ字まみれになることすらあるパロネタの多さはすごいです。数年越しに読み返すと、自分の知識の深まりを実感できてしまう。いや本当に、ドラマからアニメから漫画からゲームまで、カバーしているネタの幅が広い!兎に角広い!読むときはスマホ片手にじゃないと追い付けない……!

 

キャラクターについて

とくに会話を面白くするのが、生徒会メンバーそれぞれの個性だと思います。生徒会の一存において、登場する役員はそれぞれボケにおける特徴と持ち場が決まっています。会話における担当、発言のテンプレート。

四ページ近く地の文なしでかっ飛ばしても、ごちゃまぜでも、どのキャラとどのキャラがしゃべっているのかということに一切不都合がでないレベルに固められてます。これ普通にすごいことだと思うんですよね。明確にボケツッコミが定められてないため、シーンごとにガンガン立場が切り替わるのにも関わらず、ですから。呼称と口調とで基本キャラ特定が容易になってるからですね。こういうの分かりやすくていいなあって思います。

 

  1. 生徒会長の桜野くりむは高校三年生。しかし純真無垢なロリッ子で、勉強もできず頭も回らないかなりのアホの子。愛読書はあかずきん。夜はすぐ眠くなる。サンタの存在をいまだに信じている……というコナンくんもビックリの心と体が子供の18歳。生徒会に厄介事を持ち込むのも増やすのも大体彼女で、トラブルメーカーと『子供』としての役割を持っています。自由奔放で幼く無茶苦茶だけど、発言が真理をついてることも。一人称は私。杉崎だけ名字で、他三人は知弦、深夏、真冬ちゃん呼び。気を張ってるときは「~なのよ!」とちょっと偉そうになるけれど、気を抜いたら「そうだよ!」とかフワッとした口調になります。う~ん子供み~!!!
  2. 副会長の椎名深夏は高校二年生。ツインテールが似合う快活な美少女で、熱血少年漫画が大好きなとんでもパワーの持ち主です。野球をしたらクレーターを作り、サッカーをすればブラジル代表全員ぶち抜く驚異の身体能力。故に碧陽の運動部からは引っ張りだこの超人気者。それを抜いてもたぐいまれなカリスマ性の持ち主ですが、本人に自覚は少ないのが憎いところ。可愛い。妹の真冬の事を過保護にしているため、度々百合呼ばわりされて鍵を吹っ飛ばすことも。とはいえ妹の将来を憂うことも多い。……もう、手遅れかもだけど……。担当は『熱血』。友情努力勝利の話と、パワー系ならお任せ。変な夢を見たりする不思議ちゃんなところもある。一人称はあたし。呼び方は鍵、真冬、知弦さん、会長さん、と上級生には敬称を、加えて普段は男勝りな口調も砕けた敬語にする律儀さがあります。デレると強い。通称デメリットが強いのなんの。
  3. 書記の紅葉知弦は高校三年生。会長と同じクラスで、グラマラスかつ母性を感じさせる慈愛と色っぽさの持ち主……のように思えてその実Sっ気たっぷりの地雷のごときお姉さん。謎に闇社会のつながりを示唆したり破滅思考だったり、明るく楽しくみんなを惑わす怒らせたらやばい人。何故かムチを常備している。時々イラっとしつつも会長を甘やかしてしまう第一人者。生徒会の裏の支配者でもあります。鍵が語り部を出来ないときは代わりに努めることが多く、逆に言えば彼女と鍵が暴走するともうだれにも止められない。担当は『ドS』。仮定でよく世界をウイルスなどで滅ぼしたり、謎の機関と連絡をとって怯えるキー君を弄ぶ。楽しそうで何よりです。一人称は私。唯一メンバーにあだ名をつけている人で、会長をアカちゃん、鍵をキー君と呼びます。椎名姉妹は深夏を呼び捨て、真冬をちゃんづけ。大人びた調子で話します。
  4. 会計担当の椎名真冬は唯一の一年生。深夏の妹で、姉とは真反対のゲーム好きインドア、男性嫌い、病弱*4という貧弱極まるか弱い女の子です。弱すぎる。メンタルも弱い。そして無類のBL狂い。どうしてこうなったんだろうね。唯一鍵を同じ土俵で精神面において追い詰める強者。巻を追うごとに酷さが増すせいで知弦さんに期待のホープとして目をかけられていたり。どちらかといえば思考が鍵よりのため、意気投合も多く、しかしBLオチで寝首をかかれることも多々あり。担当は『ゲーム』。RPG寄りの思考でなにかとややこしーくややこしーく、無理難題を押し通そうとします。無茶苦茶が過ぎるとBLになる。一人称は真冬。杉崎先輩、お姉ちゃん、知弦さん、会長さん、と立場に応じた呼び方をします。だれに対しても敬語を抜かない。
  5. そして主人公(自称)、副会長の杉崎鍵。深夏と同じクラスのハーレム野郎。世界中の美少女は全部俺のもんじゃー!とのたまう軽薄男子でありながら、その実生真面目で絶対に苦労を他人に見せない男の中の男。いや杉崎のイケメンムーヴ、すっとぼけがナンバーワンに強いから、ふざけずいれば余裕でハーレム形成可能なのに……ここぞで照れが勝っちゃうからダメなんですよなあ。担当は『エロ』。思春期童貞の域を出ないセクハラをしては深夏にどつかれ知弦さんにため息をつかれ真冬ちゃんに軽蔑され会長さんにキレられます。呼称は以上と同じ。一人称は俺。先輩には敬語を使うさわやかな青年口調ですが、さわやかさが高まるときもいって言われる不憫な奴。日頃の行いですね。その名の通り、『生徒会の一存』における鍵(カギ)の役割を果たします。
全員、本当に役割通りに話します。だからこそ会話もテンポよく進んでいく。
卒業後改めてこの5人で集まったときに、鍵がフリに対して担当に忠実なボケをかます元役員'sに安心感を覚える一幕があるんですが、そこに彼らが積み上げたものが集約されてるのかもしれません。

ブコメについて

何がいいって本編全十巻、番外編全八巻+アフター二冊やってるわけなんですけど、本編一巻の時点で既にメンバー四人とも鍵のことを認めてるんですよね。みんな鍵が馬鹿なことしなければ普通に好きになってくれるのに、それに気づかないのは鍵だけ。だからいい。10巻通して杉崎鍵の高校二年生の一年間をやっていくわけなんですが、サザエさん時空じゃないんですよね。不可逆。だからこそ徐々に鍵に対してメンバーの恋愛的好感度が高まるにつれ、会話ややり取りにも変化が生まれるのは面白くもあり寂しくもあり。10巻は本当に泣いた。『新生徒会』含めるなら個人的にはカガミが一番つらかった…お前だけはセンパイを嫌いでいてほしかったんだ私は…。

シリアスについて

五人とも、実は抱えているものは結構大きかったりします。そのトラウマめいた過去をネタにすらする時期を迎えるのはだいぶ早いんですけど。会長さんは…まあ仕方ないとして、いや知弦さん一番笑えないのに…そんな会話の流れでサクッと…。そことの折り合い付けとか、企業との抗争とか*5(?)シリアスはちょくちょくちりばめられます。必要性がどれほどかなんて私には分からんのですが、企業編に関してはキー君がカッコいいのでオールオッケーですね!ヒューッ!五彩!!

特に鍵が生徒会を目指す過程はいいお話でお気に入りです。生徒会役員杉崎健がどうやって生まれたのか……四季を冠する4人*6との出会いとそれに受けた影響……後水無瀬……それと水無瀬……大体水無瀬では?葉野菜食ってろ

 

本編より本編してるとは作者談、番外編に当たる曜日シリーズ*7も普段とは違う役員の皆がみられて面白いです。シリアス具合が高めな分、周りから鍵がどういう風に見られているのか、みたいなのがよく分かる。いいやつだけど致命的にバカってまあ普段の会議とほぼほぼ変わらんのですが。中目黒君いいキャラなのに本編だと鍵のいじり要因にしかならないのが寂しい。真冬ちゃんハブの理由づけとなる話のアキバくんのから回り具合は読んでてしんどかったけど、真冬ちゃんがキー君以外と喋ってるのなんか…よかった…(?)

 

その他

アニメも一期はいい出来でお気に入りです。アニオリも悪くなかった。Lv.2?記憶にないですね

個人的にアニメと同時に発売されたキャラクターファンディスクについている、60分弱のドラマパート、はちゃめちゃお気に入りです。神がかって面白い。キャラソンも聞けば聞くほど癖になるし、そもキャラソンネタをちゃんと本編の会話から拾っているという時点で評価ウナギのぼりだし。暇があると聞いてしまうから小説と同じかそれ以上に展開覚えちゃったよ。もし生徒会が好きで聞いたことない人がいたら是非聞いてほしい。役員の好きなガ〇ダムを知って。あと鍵子ちゃんを愛でて。

 

TVアニメ「生徒会の一存」キャラクター・ファンディスク「杉崎鍵」

TVアニメ「生徒会の一存」キャラクター・ファンディスク「杉崎鍵」

 

 

後個人的に、『イベントごとの話をしない』という点をけっこう評価してます。生徒会なんだから文化祭でなにをしたか!とか、そういう話があってもいいのに、あるのは忘れ物の話だけとか。クリスマスもまともにやらないし、せいぜいバレンタインくらいかな?アラキークングウゼンネ。えっ荒木君?あくまでメインが生徒会室の駄弁りである、という軸はぶれないんですよね。そも鍵の目的もそこにあるし。卒業式は、例外です。

そういうの(日常のみを抜き出した描写)はゆゆ式にもちょっと通じるところがあるな、って思います。キャラ同士のボケツッコミが入れ代わったり担当がある、というところではこみっくがーるずとか。……あっ、私の好きなものがここに……!?

 

そんなわけで大好きな生徒会のお話でした。

他の生徒会も役員共とかヲタのしみ。とかキリカとか子ひつじとかいろいろあるけど……いや生徒会多いな?

*1:週10冊ペース。いや暇だった

*2:一切浸透しなくて作中キャラ達がディスる悲しいシリーズ名

*3:作中では全てキャラクター達が執筆した、という体になっている。語り部=執筆者

*4:忘れられた設定

*5:キャラクターに必要性を問わせるなシリーズ2、作者自信持って

*6:桜野・深夏・紅葉・真冬

*7:本編がその巻の数字を含むタイトルに対し、番外編は日曜始まりで曜日、+祝日というタイトルがつけられている